電気とガスのセット割は本当に安い?別々に契約するより得かを判定する手順

「電気とガスをまとめると安くなります」——広告でよく見る言葉です。ただ、その割引額がいくらなのかまで書いてあることは、あまりありません

結論を先に言います。セット割引そのものは月数百円規模の設定が多く、「まとめれば必ず最安」ではありません。電気とガスをそれぞれ一番安い会社で契約したほうが、年間では上回るケースがあります。一方で、請求と窓口が1つになる管理のラクさは確かな価値です。この記事は、その損得を自分の使用量で判定する手順に落としました。

セット割の仕組みと割引の規模感

電気とガスのセット割は、多くの場合次のどちらかの形で提供されています。

ここが判断の分かれ目です。単価割引タイプは使用量が多い家庭ほど得になります。逆に一人暮らしでガスをあまり使わない場合、セット割の恩恵は月数十円〜百数十円にとどまることもあります。「◯%オフ」の表示は、自分の使用量に当てはめて円に直さないと意味がありません

そして重要なのは、セット割の割引額よりも、そもそもの基本料金・単価の設計のほうが差が大きいことです。割引前の料金が高い会社でセット割を効かせるより、割引がなくても元の単価が安い会社のほうが安い——これが「セットが最安とは限らない」の中身です。

損得を判定する3ステップ

感覚ではなく数字で決めます。必要なのは直近1年分の使用量だけです。

  1. 検針票かマイページで、電気の使用量(kWh)とガスの使用量(m³)を月別に控える——1年分が理想。難しければ、夏・冬・中間期の3ヶ月を押さえれば十分な近似になります
  2. 候補の会社の料金シミュレーションに、その使用量を入れる——各社の公式サイトに用意されています。「セットにした場合」と「電気だけ」「ガスだけ」の3通りを出します
  3. 年間の総額で並べる——「セットA社」と「電気B社+ガスC社」を比べます。ここで初めて答えが出ます
比較する組み合わせ年間の電気代年間のガス代年間合計
今のまま(既存の会社)
A社にセットでまとめる
電気はB社、ガスはC社(別々)

※この表を埋めるだけで判定できます。金額はご自身の使用量でシミュレーションした数字を入れてください。

差が年間3,000円未満なら、管理のラクさを優先してセットで構いません。逆に年間1万円以上の差が付くなら、別々でも手間をかける価値があります。この線引きは各家庭の感覚で調整してください。

セットが向く人・別々が向く人

タイプおすすめ理由
ガス・電気とも使用量が多い(家族世帯)セットを軸に検討単価割引タイプの恩恵が大きく出る
一人暮らしでガスの使用が少ない別々でも比較セット割の恩恵が小さく、電気の単価で決まる
請求や手続きを増やしたくないセット窓口・請求が1つ。数百円差なら管理コストの削減が上回る
少しでも安くしたい別々で最安を選ぶそれぞれの最安を組み合わせるのが理論上は最も安い
ポイントを集約したいセット還元先が揃うと使い道が広がる。ただしポイント還元は変更されやすい
オール電化住宅電気の専用プラン優先ガスの契約自体が小さく、オール電化向けプランの条件で決まる

会社ごとの比較は、電気は電気の切り替え比較、ガスは都市ガスの切り替え比較にまとめています。個別のレビューでは東京ガスの電気の評判のように、電気とガスの両方を扱う会社の実態も確認できます。

判定には自分の使用量でのシミュレーションが必要です。検針票を手元に用意して、候補の会社で「セット」と「単体」の両方を試算してみてください

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※リンク先は広告です。料金・割引内容・供給エリアは公式サイトで最新情報をご確認ください。

その前に:都市ガスは選べる地域が限られる

ここを先に確認しないと、比較そのものが無駄になります。

都市ガスの小売自由化は2017年4月に始まりましたが、新規参入した会社が実際に供給しているのは主に都市部の一部エリアです。地方や郊外では選択肢がない、あるいはそもそも都市ガスが来ていないことがあります。

まず自分の住所で確認してください。①都市ガスかプロパンガス(LPガス)か——ガスメーター周りにボンベがあればプロパンです ②都市ガスなら、切り替え先の会社の供給エリアに入っているか。プロパンガスは自由化とは別の仕組みで、料金は販売店との個別契約です。この場合「都市ガスのセット割」は選択肢に入りません。

一方、電気は2016年4月の自由化以降、全国どこでも会社を選べます。つまりガスが選べない地域の人は、電気だけを見直せばいいという結論になります。それだけでも十分に意味があります。

契約前に確認する5項目

  1. 解約金・違約金の有無——無いことが多いですが、一定期間内の解約で発生する会社もあります。数百円の月額差より、この有無のほうが効くことがあります
  2. 事務手数料・初期費用——申し込み時にかかる場合があります。年間の総額に足して比較してください
  3. 燃料費調整や市場価格に連動する部分——料金の一部は燃料価格などで変動します。変動の仕組みが会社によって違うため、「今は安い」だけで決めないこと
  4. セット割の適用条件——「同一名義・同一住所」「両方の契約が開始してから適用」など条件があります。適用開始が翌月以降になることも
  5. ポイント還元の扱い——還元率や付与先は変更されることがあります。還元を前提に損得を計算すると、後で崩れる可能性があります

なお、切り替えの手続き自体は基本的に申し込みだけで完結し、工事は不要なのが一般的です。電気ではスマートメーターが未設置の場合に交換作業が入りますが、原則として費用負担なしで行われます。停電やガスの供給停止を伴わないのが通常で、今の会社への解約連絡も新しい会社が代行してくれる形が多くなっています(2026年8月時点。詳細は各社の案内をご確認ください)。

通信費とのセット割との違い

混同しやすいので整理しておきます。「電気+ガス」のセット割と、「ネット回線+スマホ」のセット割は、規模がかなり違います

組み合わせ割引の規模感特徴
電気+ガス月数百円規模が中心使用量に連動するタイプもある。解約の自由度が高い
ネット回線+スマホ回線1台あたりの割引が大きい家族の台数分だけ効くため、世帯人数が多いほど差が開く

つまり、固定費の見直しで先に手を付けるべきは通信側であることが多いです。特に家族の人数が多い家庭では、スマホとネット回線の組み合わせを整えるほうがインパクトが大きくなります。考え方は光回線の比較スマホ代を下げる手順まとめにまとめています。

光熱費はその次に、しかし着実に効く領域です。手続きが一度で済み、以後は放っておいても差が続くので、通信の見直しが終わったら取りかかってください。

よくある質問

Q. まとめれば必ず安くなりますか?

A. いいえ。セット割は月数百円規模が中心で、それぞれ最安の会社を選んだほうが総額で安いこともあります。年間総額で比較してください。

Q. セットのメリットは金額だけですか?

A. 請求と窓口が1つにまとまる、ポイントが集約できるといった管理面の利点があります。金額差が小さいならこちらを優先しても構いません。

Q. 都市ガスはどこでも選べますか?

A. 選べません。2017年4月の自由化以降も、新規参入会社の供給は主に都市部の一部エリアです。プロパンガスの地域は対象外です。

Q. 工事や停電はありますか?

A. 通常は工事不要で、停電やガスの供給停止も伴いません。電気ではスマートメーター未設置の場合に交換作業が入りますが、原則費用負担はありません。

Q. 解約金はかかりますか?

A. かからない会社が多い一方、一定期間内の解約で違約金が発生する会社もあります。申し込み前に必ず確認してください。

まとめ

電気とガスのセット割は「まとめれば最安」ではありません。割引は月数百円規模が中心で、元の単価設計のほうが差が大きいからです。判定手順は3つだけ——①検針票で使用量を控える ②候補各社で「セット」と「単体」を試算する ③年間総額で並べる。

そして差が年間3,000円未満なら、請求が1つにまとまる利便性を取って構いません。金額だけが価値ではありません。逆に1万円以上の差があるなら、別々に契約する手間を払う価値があります。

まずは電気の切り替え比較で自分の地域の選択肢を確認し、都市ガスが選べる地域なら都市ガスの切り替え比較もあわせてどうぞ。