光回線なのに夜だけ遅い | 原因の切り分けと、お金をかけない対処の順番

昼間は快適なのに、夜9時を過ぎると動画が止まる。「光回線なのにおかしい」と感じて速度を測ると、たしかに数字が落ちている——この症状には、ほぼ決まった原因があります。

結論から言うと、原因の大半は「回線が細い」ことではなく、①接続方式(PPPoE)の混雑 か ②Wi-Fiルーターの性能・設置場所のどちらかです。そしてどちらも、多くの場合は無料か数千円で改善できます。いきなり乗り換えを考える前に、切り分け→設定変更→機器→乗り換えの順で進めてください。この記事はその順番どおりに書いています。

最初にやる切り分け(5分)

順番を間違えると、お金と時間を無駄にします。ルーターを買う前に、必ずこの切り分けをしてください

手順やること分かること
1有線LANでつないで速度を測る有線で速い→Wi-Fi側の問題/有線でも遅い→回線・接続方式の問題
2時間帯を変えて測る(昼・夕方・夜)夜だけ遅い→混雑が原因の可能性が高い/常に遅い→設定か機器
3別の端末でも測る1台だけ遅い→その端末の問題(常駐アプリ・古いWi-Fi規格)
4ルーターとONUを再起動するこれだけで直ることが普通にあります
「夜だけ遅い」+「有線でも遅い」なら、原因はほぼ接続方式の混雑です。この組み合わせに当てはまるなら、次章に進んでください。逆に「有線なら夜でも速い」なら、回線は無実です。ルーターと設置場所の章に飛んでください。

夜だけ遅い最大の原因:PPPoEの混雑

少し仕組みの話をします。ここを理解すると、なぜ夜だけなのかが腑に落ちます。

従来の接続方式はPPPoEと呼ばれ、あなたの家からインターネットに出るまでにプロバイダ側の特定の設備を必ず通ります。この設備の処理能力には上限があり、利用者が集中する夜間にここが渋滞する——これが「夜だけ遅い」の正体です。

例えるなら:家から高速道路までの道(光ファイバー)は片側5車線あるのに、途中の料金所が2ブースしかない状態です。道を広げても意味がなく、料金所を通らないルートに変えるのが正解になります。それが次章のIPoEです。

だからこの症状のとき、より速い(高額な)プランに変えても改善しません。混んでいるのは自宅の回線速度ではなく、その先の一点だからです。ここを勘違いして上位プランに乗り換え、何も変わらなかったという話はよくあります。

IPv6(IPoE)に変える手順

IPv6のIPoE方式は、先ほどの混雑する設備を通らずにインターネットへ出る接続方式です。多くのプロバイダが提供しており、無料の場合も多いので、まず確認する価値があります。

  1. 契約中のプロバイダのマイページで対応状況を確認——「IPv6」「IPoE」「v6プラス」など、名称はプロバイダごとに異なります
  2. 申し込む——無料提供の場合と、オプション料金がかかる場合があります。反映まで数日かかることがあります
  3. 対応ルーターを用意する——ここが最大の落とし穴。IPoEに対応していないルーターだと、申し込んでも効果が出ません。プロバイダのレンタルルーターを使うか、対応機種を確認して購入します
  4. ルーターの設定を確認——機種によっては自動判別されますが、手動で接続方式を切り替える必要がある場合もあります
  5. 夜にもう一度速度を測る——改善したかを同じ条件で比較します

注意点も正直に書きます。IPoE方式では、一部のオンラインゲームで使う機能や、外部から自宅の機器にアクセスする用途に制約が出る場合があります。該当する使い方をしている人は、切り替え前にプロバイダの説明を確認してください。一般的なWeb閲覧・動画視聴・ビデオ会議では問題になりません。

ルーターと設置場所の見直し

「有線なら速いのにWi-Fiが遅い」場合は、ここが原因です。費用対効果が高い順に並べます。

対策費用効果が出る条件
設置場所を変える0円床置き・棚の裏・金属や水槽の近くに置いている。部屋の中央・高い位置が基本
5GHz帯に接続し直す0円2.4GHz帯につながっている。電子レンジ等の干渉を受けにくく速い(ただし壁に弱い)
ルーターを再起動・ファーム更新0円長期間再起動していない
ルーターを買い替える数千円〜購入から数年以上/IPoE非対応/接続台数が多い
中継機やメッシュWi-Fiを足す数千円〜特定の部屋だけ極端に遅い。広い家・鉄筋の間取り
有線LANでつなぐケーブル代のみデスクトップPC・テレビ・ゲーム機。最も確実
意外と効くのが「置き場所」です。ルーターは電波を球状に飛ばすので、床や部屋の隅に置くと半分が壁と地面に吸われます。棚の上、部屋の中央寄り、そして他の家電から離す。これだけで体感が変わることがあり、費用はゼロです。買い替えの前に必ず試してください。

集合住宅は建物内の方式が効く

マンション・アパートの場合、建物の共用部分から各戸までの配線方式が速度を大きく左右します。同じ会社と契約していても、建物によって結果が違うのはこのためです。

VDSL方式の建物では、個人の努力でできることに限界があります。契約している会社のサポートに問い合わせるか、管理会社・大家に光配線化の予定を確認するのが筋ですが、すぐには変わりません。この場合は回線そのものを別方式に変えるほうが早いことがあります。

それでも遅いときの乗り換え判断

ここまで試して改善しないなら、乗り換えを検討する段階です。選択肢は2つあります。

選択肢向くケース注意点
別の光回線に乗り換える建物が光配線方式に対応している。独自回線が使えるエリア工事が必要で開通まで日数がかかる。現在の契約の解約金・工事費残債を確認
ホームルーター/モバイル回線に変える工事ができない、VDSLで頭打ち、すぐ使いたい電波状況に左右される。オンラインゲームなど低遅延が要る用途には不向きな場合がある

乗り換える場合、窓口(代理店・プロバイダ)によって実質総額が変わる点は必ず押さえてください。回線そのものは同じでも、キャッシュバックや工事費の扱いが違います。比較の考え方は光回線の比較にまとめています。

工事なしで済ませたい場合の判断材料はWiMAXと光回線どっちがいい?、コンセントに挿すだけのタイプはソフトバンクエアーの評判が参考になります。

対策しても改善しない場合は、回線側の見直しが必要です。お住まいの建物で使える回線と、現在のキャンペーン条件を確認してみてください

【ソフトバンク光】の提供エリア・料金を確認する 【auひかり】の提供エリア・料金を確認する

※リンク先は広告です。料金・キャンペーンは公式サイトで最新情報をご確認ください。

そもそも何Mbpsあれば足りるのか

速度の数字を見て不安になる前に、自分に必要な速度を知っておくと落ち着きます。

用途目安となる下り速度
Web閲覧・SNS・メール数Mbps程度で快適
動画視聴(標準〜高画質)10Mbps前後あれば十分なことが多い
動画視聴(4K)25Mbps前後が目安
ビデオ会議数Mbps。ただし上り速度と安定性が重要
オンラインゲーム速度より応答速度(ping)と安定性が重要

※必要な速度は利用するサービスの推奨環境によって異なります。詳細は各サービスの公式情報をご確認ください。

「1Gbpsの契約なのに100Mbpsしか出ない」ことを問題視する必要はありません。表示されている数字は理論上の最大値で、実際にその速度が出ることは想定されていません。用途に足りているかどうかだけが判断基準です。動画が止まらず、会議が途切れないなら、数字が小さくても何も問題ありません。

よくある質問

Q. 光回線なのに夜だけ遅いのはなぜ?

A. 従来のPPPoE方式では、プロバイダ側の特定の設備を必ず通るため、利用者が集中する夜間にそこが混雑します。IPv6のIPoE方式に変えると改善することが多いです。

Q. 最初に何を試せばいい?

A. 有線LANで速度を測ってください。有線で速いならWi-Fi側、有線でも遅いなら回線・接続方式側と切り分けられます。

Q. IPv6(IPoE)にするには?

A. プロバイダのマイページから申し込みます。あわせてIPoE対応ルーターが必要です。非対応ルーターのままでは効果が出ません。

Q. ルーターを買い替えれば速くなる?

A. 有線では速いのにWi-Fiが遅い場合や、数年以上前の機種なら効果があります。有線でも遅い場合は買い替えても解決しません。

Q. マンションで遅いのはなぜ?

A. 建物内がVDSL方式(電話線)だと、契約プランに関係なく速度が頭打ちになります。個人でできる対策には限界があり、回線方式の変更が選択肢になります。

まとめ

光回線が遅いときは、順番を守るだけで多くが無料で解決します。①有線で測って切り分ける ②夜だけ遅いならIPv6(IPoE)に変える ③Wi-Fiが遅いなら設置場所と5GHz帯を試す ④それでもダメならルーター買い替え ⑤集合住宅の配線方式を確認 ⑥最後に乗り換え。

特に、「夜だけ遅い」+「有線でも遅い」なら接続方式の混雑がほぼ確定で、上位プランへの変更ではなくIPoEへの変更が正解です。いきなり高いプランや高いルーターに手を出さないでください。

乗り換えまで進むなら光回線の比較を、通信費全体を見直すならスマホ代を下げる手順まとめをどうぞ。